アプリ特有の「プッシュ通知」機能。プッシュ通知は、ユーザーにとっても事業者にとっても重要な役割を果たします。プッシュ通知とは、スマホのロック画面やステータスバーにアプリからの新着情報を表示させる機能です。
そこで本記事では、アプリのプッシュ通知のメリットやデメリット、プッシュ通知の種類と配信時の注意点について解説します。
プッシュ通知とは、アプリで配信したお知らせや新着情報を、スマホの画面上(ロック画面やステータスバー、コントロールセンター)に表示する機能です。プッシュ通知で表示されたメッセージをタップすると、配信元のアプリが起動し、ダイレクトに遷移する仕組みとなっています。
具体的には、LINEやSNSでは新着メッセージの通知、ニュースアプリでは最新ニュースの更新通知などに利用されます。
最大の特徴は、アプリを起動していない時でもロック画面などにお知らせを通知できるため、ユーザーの目にとまりやすいことです。休眠顧客の掘り起こしや、アプリの継続利用促進に効果的な機能なのです。
目次
OSごとのプッシュ通知の違い
iOS(iPhone)とAndroidで、通知の設定や表示方法が少し異なります。
iOSは、ユーザーがアプリごとにプッシュ通知の受信設定を行うのに対し、Androidはデフォルトでプッシュ通知が受信される設定となっています。ロック画面での表示についても、iOSはアプリ単位でユーザーが設定できますが、Androidは常に表示されます。
しかし、最近ではAndroidもOSのアップデートに伴い、ユーザーがアプリ単位で設定できるように変更されており、今後はAndroidアプリもiOS同様の仕様に変化していくでしょう。
アプリのプッシュ通知の重要性
スマホの普及により、企業や店舗のマーケティングにおいてアプリのプッシュ通知の活用はとても重要だといわれています。顧客と深く接点を持つためにも、デジタルを活用した販促やマーケティングが必要不可欠な時代となっています(※)。(※令和5年度 情報通信白書(デジタル活用の動向))
日本国内において、80%以上の人がスマホを持つ今、アプリのプッシュ通知を活用することは、顧客接点の増加につながります。ユーザーとの接点が増えれば、ユーザーエンゲージメントの向上が期待でき、結果として企業・店舗の売り上げにつながるのです。
プッシュ通知のメリット【企業側】
プッシュ通知のメリットについて、企業側、ユーザー側それぞれの視点で解説します。まず、企業側のメリットは、以下の3つがあげられます。
- メルマガに比べて開封率が高く即効性がある
- アクティブ率(利用継続率)を高められる
- 顧客ロイヤルティの向上につながる
それぞれ詳しくみていきます。
メルマガに比べて開封率が高く即効性がある
プッシュ通知は、メルマガと比べると開封率が高い傾向にあります。プッシュ通知からそのままアプリに遷移できるため、即効性のあるプロモーションが可能です。ユーザーの負担を軽減しつつ顧客接点を増やすことができます。
アクティブ率(利用継続率)を高められる
ユーザーは数多くのアプリを保有しているため、自社アプリの利用頻度が低下してしまうことも少なくありません。定期的なプッシュ通知で自社アプリの存在をアピールすることで、継続的な利用を促進することができます。有益な情報配信でアプリ利用を促し、より多くアプリを利用してもらうことでアプリの魅力を感じてもらうことでアクティブ率の向上が期待できます。
顧客ロイヤルティの向上につながる
顧客ロイヤルティとは、商品やサービスへの信頼や愛着のことで、プッシュ通知の活用は、この顧客ロイヤルティの向上効果に期待できます。リアルタイムでの情報提供とあわせ、会員制度などを活用することで、顧客満足度を高めることで、顧客ロイヤルティの向上につなげることが可能です。
また、顧客ロイヤルティの向上は、リピーターの増加、優良顧客への育成にもつながります。
プッシュ通知のメリット【ユーザー側】
次に、ユーザー側のメリットとして、以下の2つが挙げられます。
- 新着情報をリアルタイムで受け取れる
- 重要な連絡の見逃しを防ぐことができる
それぞれ詳しくみていきます。
新着情報をリアルタイムで受け取れる
店舗からの新着情報やSNSの新着メッセージを、リアルタイムで受け取ることができる点は最大のメリットといえます。例えば、プッシュ通知の内容が『時間限定のセール情報』だった場合、リアルタイムで受信できなかったら、セールを利用するチャンスを逃してしまうことになります。ロック画面に表示されるプッシュ通知を確認するだけで情報をいち早くキャッチできる点は、プッシュ通知の魅力だといえます。
重要な情報の見逃しを防ぐことができる
プッシュ通知を設定することにより、情報やメッセージの見逃しを防ぐことができます。また、アプリ事業者側が配信する情報だけでなく、カレンダーの重要な予定などのリマインド通知を設定することも可能です。プッシュ通知で自分自身にお知らせをすることで、予定の見逃し防止にもつながります。
プッシュ通知のデメリット
プッシュ通知の効果を最大化するために、デメリットについても確認しておきましょう。
プッシュ通知のデメリットは、主に以下の2つが挙げられます。
- アプリへの不快感につながるリスクがある
- 通知の内容や時間帯によっては効果が得られない
アプリへの不快感につながるリスクがある
アプリへの不快感が高まると、アプリのアンインストールにつながってしまうリスクもあります。アプリへ不快感を抱くケースとして、以下のようなことが考えられます。
- 毎日同じ内容のプッシュ通知
- 1日のプッシュ通知が多すぎる
- 有益でない内容のプッシュ通知
過剰なプッシュ通知や、ユーザーにとって有益でないとみなされた内容の通知が毎日のように配信されると不快感を与えてしまう可能性があります。
配信の頻度や内容の精査など、ユーザーに配慮した計画で実施することが重要です。
配信時の注意点については、このあとでも解説していますので、そちらも参考にしてみてください。
通知の内容や時間帯によっては効果が得られない
プッシュ通知は、便利な機能を兼ね備えていますが、運用の仕方によっては効果が得られないこともあります。
なんのお知らせか分からないようなプッシュ通知や、ほとんどの人が就寝している深夜帯に送ったプッシュ通知では、開封率は下がり思うような効果を得にくいでしょう。
ユーザーにとって興味を引く魅力的な内容になっているか、読みやすい文面であるか、送るタイミングは適切であるかなどを考慮し、ユーザー目線で運用していくことが重要となります。
プッシュ通知の種類
プッシュ通知は主に4種類に分けられます。
リモートプッシュ通知
「リモートプッシュ通知」とは、スマホがオンライン状態のときにアプリから届く通知です。特徴はリアルタイムに情報を通知できることです。スマホの電源がオフまたは圏外の場合でも、インターネットに接続されたタイミングで通知される仕組みとなっているので、情報鮮度が高いメッセージを発信できます。
ローカルプッシュ通知
「ローカルプッシュ通知」とは、スマホがオフライン状態でも発信される通知のことです。
ユーザーによる設定や特定の状況におけるアプリからの通知を指します。具体的な例では、カレンダーアプリに登録している予定のリマインドとして、設定した日時に通知が届くものは、ローカルプッシュの働きによるものです。
セグメントプッシュ通知
「セグメントプッシュ通知」とは、ユーザーを特定の条件でグループに分け、そのグループごとにプッシュ通知を配信するものです。
以下のような条件でセグメント(グループ分け)することが可能です。
●デモグラフィック情報(年代・年齢、地域、家族構成、職業など)
●購買履歴
●アプリの起動回数
●店舗への来店回数
顧客の属性や行動に合わせて配信内容を変え、ユーザーニーズの高い情報や特典を届けることができます。
オートプッシュ通知
「オートプッシュ」とは、顧客離れのリスクを回避するために、自動的にプッシュ通知を送る機能のことです。具体的には、リマインダーメッセージや誕生日などの会員情報をもとにしたメッセージから、新機能などの定期配信などが挙げられます。
定期的にプッシュ通知を届けることにより、休眠ユーザーの掘り起こしに繋がり、再来店を促すことにもつなげられます。
プッシュ通知を配信する際の注意点・ポイント
ここでは、プッシュ通知を配信する時に気を付けたいポイントを4つご紹介します。
ユーザーを惹きつける内容にする
まず最も大事なのが、ユーザーの興味・関心を惹く文面、内容にすることです。スマホの画面で確認できるプッシュ通知の内容は、ほんの数行だけです。その数行で、いかにキャッチーでユーザーを惹きつける内容に出来るかがポイントです。プッシュ通知の内容が、「なんの情報かわからない」「自分には関係ない」と思われてしまうと、開封まで至らない可能性もあるので注意しましょう。
配信するユーザー別に内容を分ける
プッシュ通知の効果をより高めるため、ユーザー別で内容や文面を分けて作成することもおすすめです。プッシュ通知は、自分にとって有益である内容や、自分の嗜好に寄っている場合に開封することが多いです。これらは、ユーザーによって異なるため、ユーザー層を深く分析したうえでセグメントし、そのユーザーたちが求める情報を配信内容にすることが重要です。
ユーザーに配慮した配信をする
配信内容もそうですが、プッシュ通知を送る頻度や時間帯にも注意が必要です。ユーザー目線に立ち、不快に感じない配信回数や配信時間を考えましょう。ユーザーへの配慮が足りないプッシュ通知は、通知のオフやアプリのインストールにつながってしまい、そもそもの効果を発揮できない状態にしてしまう可能性があります。また、ワンパターンで飽きられてしまうようなプッシュ通知配信にも気を付けましょう。
プッシュ通知の活用事例
最後に、アプリのプッシュ通知を活用し、集客や顧客の利便性アップを実現した事例をご紹介します。
カヌチャゴルフコース様の事例|販促のデジタルシフトによりコストが90%ダウン
ゴルフ会員様向けのアプリを運用しており、コース確認やプレーの予約、ゴルフ場の利用で貯まるポイントの管理がアプリでできます。
アプリ導入前まで、DMをメインに情報配信をしていましたが、DMコストや会員様の手元に届くまでのタイムラグが課題だったようです。
アプリを導入してからは、イベントの案内や月例杯の結果配信などの、情報配信をプッシュ通知で行うようになり、DMコストを90%削減することに成功しました。アプリ会員からも、リアルタイムで結果が見られるようになった等、満足度向上の反応を得られています。
シーフードレストランメヒコ様の事例|店舗ごとに配信内容を変えて集客率アップ
シーフードレストランメヒコでは、新たな客層へのアプローチ施策として、アプリを導入しました。それに伴い、これまで紙のカードだったスタンプカード、新聞折込を活用していた情報配信も、アプリに統一しました。
プッシュ通知は、イベント情報の配信などに活用していますが、店舗ごとに顧客層が異なるため、店舗別でプッシュ通知内容を作成し、その店舗の顧客に合わせたアプローチを行っています。効果として、新たな客層の獲得やリピート化につなげられています。
>>> シーフードレストランメヒコ様のインタビュー記事はこちら
タンニングサロン Eos様の事例|ほぼ100%のお客様がアプリを利用
タンニングサロン Eosは、スマホ社会の時代の背景への考慮や、お客様とのリアルタイムでのコミュニケーションを重要視し、アプリを販促ツールに採用しました。プッシュ通知は、主にサロン会員様へ情報配信に利用していますが、リアルタイム配信ができるという特徴を活かし、雨の日には雨の日クーポンの配信や、予約枠が空いていたりキャンセルが出た際に、即時予約を促すプッシュ通知を配信するなどで集客につなげています。利便性が高まったこともあり、ほぼ100%のお客様がアプリ会員だといい、リピーター獲得にもつながっています。
>>> タンニングサロン Eos様のインタビュー記事はこちら
まとめ
プッシュ通知は、スマホ保有率が9割にも上る今、企業や店舗のマーケティング施策として非常に有効的だといえます。ユーザーにとって有益な情報を配信し、ユーザーの目に止まりアプリへと誘導することで、集客の効果を最大化させることも可能です。
さらに、プッシュ通知だけに留まらず、アプリが持つそのほかの機能もうまく活用することでより効果的かつ効率的なマーケティングができるようになります。
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