売上を大きく左右する「販促」は、商品やサービスの成功に欠かせません。
本記事では、具体的な販促の手段と企業の販促事例5選をまとめました。
ぜひ、自社の販促を行う上で、参考にしてみてください。
目次
販促とは
販促(販売促進)とは、消費者の購買意欲を刺激することで集客力や購買率を高める販売手法のことをいい、別名「セールスプロモーション」とも言います。
また、似たような意味を持つ「マーケティング」は集客力や売上を高めるという点で、消費者の行動、いわゆる《ヒト》に焦点を当てています。一方で販促は、商品やサービス、いわゆる《モノ・コト》を対象に戦略を考えるため、両者は区別されています。
販促を成功させる施策
ここからは、販促を成功させる3つのポイントを解説していきます。
目的・ターゲットの確定
まず1番初めに、目的・ターゲットを明確にしましょう。なぜなら、目的によって打つべき施策は異なり、ターゲットが曖昧なままでは適切な手法が選べないからです。ターゲットは、年齢や性別、家族構成などを具体的に設定することが重要です。
定量調査・定性調査の併用
次に、定量・定性調査を併用し、消費者について深く知りましょう。定量調査では、集計したデータを容易に数値化できるため可視化しやすく、時系列ごとの比較など統計的にデータ処理を行えます。例えば、街頭インタビューや、自宅に送った試供品の感想や評価をもらうホームユーステストなどがあげられます。
一方、定性調査は、数値では測れない顧客の感情を探ることで、そのニーズや行動に至った理由を把握できます。例えば、ユーザーが実際に商品を手に取るまでの過程を観察したり、様々な属性(年齢・性別・職業など)のモニターに自由な発言をさせるグループインタビューなどが考えられます。
仮説・検証
最後に、ただ実行して終わりにするのではなく、前もって立てた仮説と実際の結果を比較し、検証することが大切です。例えば「ターゲットや市場のニーズを適切に捉えていたか」、「施策に対する金額を投資額は適切であったか」「販促のタイミングは合っていたか」などの観点から行った施策を分析し、結果を出すためのPDCAサイクルを回していけるようにしましょう。
具体的な販促の手段
ここまで販促を成功させる上で意識すべきポイントを解説してきましたが、次は販売促進の具体的な手法を、オフラインとオンラインに分けて紹介します。
【オンラインの場合】
Web広告の掲載
Web広告は、年齢・性別・地域など細かい観点で絞った特定のユーザーに店舗情報をアピールできます。また、レポートをリアルタイムで確認できるため、よりスピーディに販促の成果を検証し、次の打ち手を考えることができます。ただし、ネット広告が消費者の目に止まらない可能性があること、頻繁にアップデートされるネット広告の機能に対応できるだけの専門的な知識が必要になることなどが課題としてあがっています。
販促で使われるネット広告は主に、リスティング広告、リマーケティング、アフィリエイト広告です。リスティング広告は、検索結果とともに表示される広告で、企業や店舗側は見込み客やユーザーが検索するであろうキーワードを事前に設定します。リマーケティングはHPへの訪問者に再度アプローチする手法で、提携サイトに自社の広告が表示されます。アフィリエイト広告は、商品やサービス購入、または会員登録や資料請求が行われた際に初めて費用が発生するため、費用対効果は高いです。
HP・ブログでの情報発信
店舗や商品、サービスの販売促進活動には、ホームページやブログの存在が欠かせません。少しでも興味をもってもらうためにも、お得なキャンペーンやクーポン情報、新メニューの紹介など、積極的に発信しましょう。また、多くの消費者にみてもらうためには、SEO対策が必要となります。SEOとは、“Search Engine Optimization”の略で検索エンジン最適化を指します。具体的には、検索結果ページに上位表示されるようにサイトの改善を試みる対策です。このSEO対策を行うことでより多くの消費者に商品・サービスを知ってもらい、販売促進に繋げることができます。
SNSの運用
消費者は関心のある商品やサービスの購入前に、口コミや他社比較など様々な情報を検索します。そして、購入後は実際に経験して感じた生の声を発信し、それが共感を生み新たな顧客創出に繋がります。このように、効率的に情報を拡散できるSNSの販促を利用しない手はありません。また、SNSを通して消費者と直接コミュニケーションをとることもできるため、より顧客満足度の高い販促を実現できること、無料で利用できるSNSが多いことから、コストをかけずに認知度を高められることも魅力です。
メルマガ・アプリの活用
メルマガはクリック率や開封率を測定することが可能なので、情報発信後のレスポンス率を確認し、改善を繰り返し行うことができます。アプリには、顧客管理・分析機能がついているアプリはそれを活用することも効果的な手段となります。ただ、見込み客やユーザーに登録の手間を取らせることは改善点といえるでしょう。
【オフラインの場合】
体験型イベントや実演販売の開催
体験イベントや実演販売は、実際に商品を手に取ってもらい消費者も参加することができるため、購買意欲をかき立てます。スーパーでの試食販売、有料サービスに無料トライアル期間を設けることなどが以前から行われている施策の一例です。
チラシ・新聞・雑誌での宣伝
チラシや新聞によるアナログな販促は、ネットが普及した今実施しない店舗も増えています。しかし、エリアを限定し、紙という実物で情報を伝達することが可能なため、優れたクリエイティブでなければ消費者の注意を引きにくくなっているネット広告に比べて見直されてきている販促方法といえます。ステッカーやクーポンのような特典を一緒に配布したり、種類ごとに読者層が分かれている雑誌では、特に高齢者層や高所得者層、病院や美容院といった雑誌の購買率が高い層に向けて効果的に販促を行うこともできます。
看板・のぼり・屋外広告・交通広告の活用
看板やのぼり、屋外広告や交通広告で、通行人にインパクトを与えたり、店舗のイメージが湧きやすいものは、集客力のアップに繋がります。文字の大きさや色、字体によっても通行人に与える印象が大きく変わるので、さまざまなデザインを比較しながら、店舗のコンセプトに合った看板を選びましょう。ただし、交通量が多く歩行者も多い場所はそれだけ人の目に触れる機会が多いため、媒体使用料は高額になるなど、設置場所によってコストも変わるため注意が必要です。
【その他】
人気キャラクターや作品とのコラボ企画
人気作品とのコラボ企画は、これまでの既存顧客とは異なる新規層の開拓に繋がります。また、話題性もあるためメディアで紹介される確率も高くなり、商品・サービスの認知度拡大も期待できます。
クーポンの配布やポイントの付与
割引券やクーポンの配布は、商品を安く手に入れたい消費者の心をつかむのにとても効果的であり、ポイント制度は、新規顧客だけでなくリピート率向上も望めるでしょう。「初購入から1ヶ月間はポイント2倍」や「毎月10日はポイント1.5倍」など、初購入や初来店から、短期間のうちにリピートを促すのも効果的です。
ノベルティの配布
オリジナルグッズやノベルティといった販促物は消費者の購買意欲を高めるのに効果敵です。そこでオススメなのがデジタルギフトです。先ほど紹介した、クーポンやポイントを活用し販売促進に活かすことができます。デジタルギフトは電子版のギフト券やオンライン上で商品をプレゼントできるサービスを指します。在庫管理や発注の手間を省き、発送にかかるコストを削減できるなど有効活用できるメリットが多くあります。
身近な販促の事例
企業が実際に行った販促事例について、ここでは5社のアイデアをご紹介します。
「アイセイ薬局」
株式会社アイセイ薬局は、店舗に並べる什器を活用し、ブランディングに成功しました。同社は業界における他店との差別化を課題にあげており、健康情報の発信に着目しました。什器を活用した健康情報の発信、関連商品の企画物販を実施したことで、患者とのコミュニケーションが円滑になり、他店との差別化に繋がりました。
参考資料:https://service.pxc.co.jp/case-study/casestudy3/
「日清食品」
食品加工会社の「日清食品株式会社」は、人気アニメ『鬼滅の刃』とのコラボ限定商品を発売しました。このキャンペーンは、同社のカップ麺『日清のどん兵衛』『日清焼きそばU.F.O.』の45周年を記念する特別企画で、同社のX(旧Twitter)公式アカウントをフォロー&リツイートすることで、当選者に限定グッズがプレゼントされる施策も同時に行われました。
参考資料:https://service.pxc.co.jp/case-study/casestudy4/
「無印良品」
小売業を展開する株式会社「良品計画」は、家具の月額定額サービスを開始しました。「必要なモノを必要な期間だけ利用する」というモノへの新しい価値観から生まれたサービスです。顧客は1〜4年までの4つのプランから利用期間を選択し、終了後は、買い取り・契約延長・返却の3つのプランを選べます。店頭販売にとらわれず、時代のニーズを考えた手段に挑戦する同社の姿勢が垣間見える施策です。
参考資料:https://www.ryohin-keikaku.jp/news/2022_0307.html
「SABON」
イスラエル発のコスメブランド「SABON」は、LINEを活用した施策を導入しました。実店舗に訪れた顧客に同社のLINEアカウントを追加してもらい、その顧客情報・購入履歴に合わせたメッセージを送ることで、コミュニケーションを図ります。また他にも、オンライン接客やバーチャルストア開設といった独自のサービスを展開し、顧客満足度の向上に努めています。その結果、LINE経由の売り上げが約3割を占めるという結果をもたらしました。
参考資料:https://www.linebiz.com/jp/case-study/sabon/
「ナノ・ユニバース」
アパレルショップを展開する「ナノ・ユニバース」は、公式アプリ上で15分ごとに店舗の混雑状況が分かるサービスを導入しました。導入の背景には「コロナ禍の今、来店前に店舗内の混み具合を知ることでお客様が安心してショッピングできる環境を提供したい」という同社の思いが込められており、顧客評価の向上にも繋がる施策となっています。
参考資料:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000038902.html
より効果的な販促に繋がるポイント
オリジナリティのある企画でより高い効果を得るためには、上記で説明した販促の成功ポイントに加えて下記のことを意識すると、より魅力的な販促を実行することができます。
事業方針を念頭に置く
1つ目は、「企画する販促が事業方針に適しているか」ということです。自社の考えている予算や時間から取り入れられそうな販促方法をピックアップし、アピールしたい内容やターゲット層を押さえた上で、最も理想的な販促方法を選択します。たとえば実店舗において、新規顧客獲得には折込チラシやネット広告、リピート客獲得にはダイレクトメールの送付やポイントカードの導入といったように、業態と目的に合った販促を企画するとよいでしょう。
季節やトレンドも意識
2つ目は、「定期的に販促方法を変更すること」です。販促を毎日のように変更するのは現実的ではありませんが、お客様に常にワクワクを感じてもらうためにも、定期的な工夫が必要です。たとえば、季節に応じた新メニューを提案したり、季節感を感じられるような旗やチラシを作成することで、トレンド感のある販促ができるでしょう。
リピーターに着目した企画作り
3つ目は、「リピーターの獲得に力を入れること」です。集客コストを抑えたり効率的に売上を伸ばすためには、新規顧客だけではなくリピーターにも目を向ける必要があります。たとえば、ポイントカードの利用により受けられる特典や、初回利用時にクーポン券を発行して次回以降お得にショッピングできるようにするなどの仕組みを設けるのも理想的です。
まとめ
本記事では、具体的な販促の手段と企業の販促成功事例についてお伝えしました。
販促は、選んだ施策によって得られる効果や達成できる目標が変わってきます。自社の目的に合った施策を実行していきましょう。
また、複数の販売促進ツールを利用していて管理が困難である場合は、それらを自動で管理するサービスの利用をオススメします。
株式会社バリューワンが提供するmatomaru(マトマル)であれば、アプリ・メール・LINEの販売促進ツール毎にバラバラな顧客データを一元管理できます。
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