顧客満足度の向上やリピーター・新規顧客獲得を達成する上で、経営には欠かせない顧客管理ノート。「お客様との会話など些細なことを書いておくメモ」というイメージがありますが、このノートを有効活用するためにはひと手間工夫が必要です。
そこで本記事では、顧客管理ノートの基本的な作り方や、効果的な活用方法などを解説していきます。
目次
他の管理方法との違い
顧客管理ノートでは、企業名や連絡先などの基本的な情報だけではなく、実際に顧客とやりとりをしていく中で得た、細かい情報を記載していきます。例えば、顧客の家族構成や性格、誕生日、趣味嗜好など、仕事に直接関係のない話題も積極的に記載しておくことで、顧客自身も話したことを忘れるようなささいな話題も提供することができ、顧客との関係強化に繋がります。
顧客管理の必要性
競合の存在
現在、競合他社が増え、顧客のニーズが潜在化する傾向にあります。ネットで商品を検索・比較した上で購入や来店を検討する顧客に、自社の商品を適切にアピールできないと、競合に負ける可能性があります。そこで自社のシェアを維持拡大し生き残るためには、適切な顧客管理を行い、顧客と良好な関係を築く必要があります。
そのため、ノートを活用して情報を管理し、社内全体で共有された情報を元に、顧客一人ひとりに合ったきめ細やかな対応をしていくことが求められます。
生産性向上
人手不足の業界は特に、社員一人ひとりの生産性を向上させる必要があり、そのためには顧客を知り、無駄のないマーケティング活動をすることが求められます。そこで顧客管理の業務をシステム化することで一人あたりの作業量を減らし、コスト削減や生産性向上に繋げます。
売上拡大
顧客の中には「以前関係があったが、今は取引を行っていない見込み顧客」が眠っています。一度は自社に興味を持っているこのような顧客は、コストをかけずに顧客にできる可能性があります。また、「商品の購入をやめた理由」「購入をやめたタイミング」などの分析も今後の経営に大きく影響します。たとえば、商品の値上がりを契機に購入をやめた場合、割引クーポンや割引キャンペーンの案内を行うことで、興味をひける可能性があります。
顧客管理で得た情報からアプローチする顧客を見つけ、売上拡大に繋げていきましょう。
商品の改善
既存顧客離れを防ぐには、商品やサービスの改善が必要です。そこで顧客管理によって商品やサービスに対するニーズを把握し、顧客が欲しいと思ったタイミングで提供することが必要になります。たとえば、売上傾向、趣味嗜好、要望など、次に購入するまでのスパンから顧客が商品を必要としている頻度がわかります。ネットの普及により顧客が他社へ乗り換えるハードルが低くなっている今、顧客満足度を向上させるには、より一層既存顧客へのフォローが求められています。
広告の削減
適切な顧客管理で顧客のニーズを把握することで、宣伝広告費を削減することもできます。新規顧客獲得を目的とした宣伝広告はコストがかかり、どうしても利益率が低くなってしまいます。一方で、一度商品の購入経験がある既存顧客は、少ない投資で再度商品を購入してくれる可能性が高いのです。よって、興味関心、趣味嗜好が各々異なる既存顧客に合った「ダイレクトマーケティング」を行うことで、宣伝広告費に膨大なコストをかけなくても、顧客満足度を高めることができます。売上向上のためには、新規顧客の獲得と既存顧客維持のバランスを保ちながら施策を行いましょう。
【ノートのメリット】
自由な書式
ノートを使う最大のメリットは、書式が自由ですぐにメモできる手軽さです。顧客とのやり取りで特に印象に残った特記事項やラフスケッチなどを、自由に書き記しましょう。
オフライン環境の追記可能
インターネット環境がなくてもノートを開けば書くことができるため、作業する場所を選びません。また、デジタルツールが普及した現在でも、顧客の前でスマホやタブレットを操作する行為は失礼に当たる可能性がありますが、ノートであれば顧客の心証を損ねるリスクが減らせます。
費用負担が少ない
アプリ等のデジタル顧客管理サービスは無料で使えるものもありますが、使い方を覚えるまでに時間がかかると人的コストの消費になりかねません。一方、この方法であればノートとペンさえあれば誰でも記入できるため、費用負担は少なく済みます。
共有しやすい
1冊の顧客管理ノートを複数人で同時に使用し、いつでも書きこめる状態にしておくと、顧客情報の共有が容易になり、予備知識や特殊技能がないスタッフも、ベテランと同じ精度で顧客管理を行うことができます。デジタルツールはどんなにシンプルな機能でも人によって得意・不得意があるため、一部のスタッフしか使わなくなる可能性も考えられます。
【ノートのデメリット】
過去の情報を探す手間
検索機能がないため、目的の箇所を探すまでに時間がかかります。重要な情報が書かれたページには付箋を貼り付ける、インデックスを作るなどの工夫はできますが、デジタルの顧客管理と比較すると面倒です。
変更が面倒
記入ミスがあったとき、消しゴムや修正液を使って消さなくてはならず、変更が容易でないこともノートのデメリットです。特に記載内容を丸ごと入れ替えるなどの大幅な変更は、とても手間がかかる作業になります。
同時記入不可
ノートの場合、デジタルツールのような同時記入ができません。そのため、他のスタッフは自分が書く番になったら詳細を記入できるように別の紙に内容を控えたり、ノートへの記載そのものを忘れたりしないように注意する必要があります。
管理方法の個人差
ノートは、誰もが自由に書き込める分、記入項目や内容に統一感を持たせることが難しいです。顧客に向ける目線も記載者独自のものになると、別の担当者に引き継ぐ際に支障が出ます。そのため、ノートの記載ルールをあらかじめ決めておくとよいでしょう。
紛失時のリスク
デジタルによる管理は、データをバックアップして保存しておいたり、日頃のセキュリティ管理による情報漏洩の未然防止ができます。一方で、ノートを紛失した場合は、そこに集約されている全ての顧客情報が漏洩したことになるため、甚大な損失が発生します。
顧客管理ノートの書き方
ここからは、顧客管理ノートの書き方を位置から順に説明します。基本的に記載しておくべき事項は、以下の5つに分類できます。
企業情報
はじめに、企業に関する情報を記載します。主に、「会社名、住所、電話番号、メールアドレス、代表者名、資本金、従業員数、上場企業か否か、決算月、業種、事業内容」などです。更に、HPのURLやSNSのアカウント情報なども合わせて管理すると、オンラインでの関係性を深めることもできます。
個人情報
次に、顧客(BtoBであれば企業の担当者、BtoCであれば消費者)の情報を記載します。主に、「氏名、年齢、性別、所属会社名、勤務先住所、部署、役職、携帯電話番号、メールアドレス、SNSアカウント、誕生日」などです。また、別の社員が対応する時のために、顧客の特徴や趣味趣向などもメモしておくとよいでしょう。情報は社内で共有されるものなので、「定性的な内容」を書いても大丈夫です。
商談情報
次に、商談内容を記載します。主に、「商談の金額、値引き価格、契約数、仕入原価、対象サービスや商品、商談作成日、受注予定日」などです。自社のサービスや商品に合わせた情報を記入しておくことで、他の従業員への引継ぎの際に重宝します。
契約情報
次に、契約にまつわる情報を記載します。主に、「契約の金額、対象サービスや商品、締結日、満了日」などです。これらの情報は、早期の継続利用の提案や更なる営業活動に繋がります。
問い合わせ情報
最後に、顧客から寄せられた問い合わせについて記載します。主に、「問い合わせの種別、内容、状況」などです。その後の営業戦略やサービス・商品改善を行うために、これらの情報を見返すと便利です。
更に有効活用するためのポイント
ここまで顧客管理ノートのメリットや書くべき項目を述べてきましたが、顧客管理ノートは書いて終わりではありません。以下では、顧客管理ノートを上手に活用する上で、更に気を付けたいポイントをいくつか説明します。
整理・振り返りをする
整理・振り返りの時間を必ず設けましょう。空いた時間にノートに軽く目を通すだけでも、自分自身の接客やお客様について何かしらの気づきが得られるはずです。ノートを持ち歩く用と保管用で分けておくことも1つの手かもしれません。入力した情報を使って分析を行い、今後の営業活動に活かしましょう。
チーム内での共有
従業員同士で各々が記載した情報を共有し、自分の担当外のお客様についても知り得ておくことで、引継ぎをスムーズに行うことができます。例えば、「このキャンペーンの時は〇〇さんにも送りたい」「〇〇さんがいらっしゃったら繋いでほしい」のように、ノートの情報を有効活用しましょう。
セキュリティへの配慮
顧客管理ノートには、顧客に関する詳細な情報が記載されているため、個人情報なので取り扱いにはご注意ください。情報漏洩による信頼の損失が起こらないように、セキュリティ対策は念入りに行いましょう。対策としては、例えばノートの閲覧する場所や時間を決める、鍵のかかる引き出しに保管しておく、社外秘資料として持ち出し厳禁にするなどが考えられます。
継続運用
ここまでノートの運用方法について色々とお伝えはしましたが、ノートは続けてこそ力を発揮します。記帳すること自体にあまりこだわりを持たず、可能な範囲で続けてみましょう。そして効果が出始めた時に、改めて工夫してみてはいかがでしょうか。
まとめ
顧客の情報を一元管理し、その情報に基づいて営業活動を行うことまでが顧客管理です。お客様の情報を適切に管理することで、「競合他社に負けないブランド作り」「顧客満足度の向上」「生産性の向上」などが期待できます。
このような顧客管理を効率的に行うためには、本記事で紹介したノートによる記載方法の他に、ツールの利用がおすすめです。顧客管理ツールは沢山あるため、自社の業務内容や規模に合わせたものを選ぶことが重要です。
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