スマートフォンの普及に伴い、近年オリジナルのアプリを開発して集客・販促をする店舗や企業が増加しています。
本記事では、ゼロからアプリを開発する「スクラッチ開発」と、既存システムを用いて開発する「パッケージ開発」、それぞれの特徴と両者の違いについて、詳しく解説します。
アプリの開発を検討中の方、開発方法の選択に迷っている方は、是非参考にしてみてください。
目次
アプリ開発の種類とは?
アプリ開発とは、スマートフォンやタブレット、PCなどのプラットフォーム向けにアプリケーションを設計、開発、展開するプロセスです。アプリの開発方法は大きく2種類に分けられます。
ひとつは「スクラッチ開発」、もうひとつは「パッケージ開発」です。
スクラッチ開発とパッケージ開発には、それぞれ特徴やメリットがあり、もちろんデメリットもあります。それぞれの違いを理解したうえで、プロジェクトの規模や目的に応じて、開発方法を選択することが大切です。
スクラッチ型のアプリ開発
スクラッチ型のアプリ開発は、既存のテンプレートやフレームワークに依存せず、一からソースコードを記述してアプリケーションを構築する開発方法です。スクラッチ型開発のいちばんの特徴は、際限なくカスタマイズが可能な点です。特定のプラットフォームやコンポーネントに縛られることなく、独自の要件に完全に合わせたアプリケーションの開発ができます。
顧客のニーズに合わせた独自の機能を搭載したり、インターフェースを自由にデザインでき、競合他社と差別化を図れるユニークなアプリを市場に出すことができます。
パッケージ型のアプリ開発
パッケージ型のアプリ開発は、既存のパッケージシステムを利用してアプリケーションを開発する方法です。予め用意された機能を、要件やニーズに合わせてカスタマイズしてアプリを構築します。パッケージ型開発の最大の特徴は、スピーディーかつ低コストでの開発が可能な点です。既存のパッケージを使用するため、一から開発するよりも迅速にアプリを開発できます。
なるべく早くアプリをリリースしたい場合や、リソースが限られている場合におすすめの開発手法です。
スクラッチ開発とパッケージ開発の違い・比較
先で解説した、スクラッチ開発とパッケージ開発の違いを表にまとめてみると、以下のようになります。
オーダースーツと既製品スーツをイメージすると分かりやすいです。オーダースーツ(スクラッチ開発)は、好きな生地で好きなように作ることができますが、その分割高になります。既製品のスーツ(パッケージ開発)は、店舗で売られているスーツの中から好きなデザインを選びます。カスタム(オプション)は丈の調整やボタンのデザイン変更など、「ある程度」しかできない分、安価で購入できるのです。
スクラッチ開発のメリット
ここからは、それぞれの開発方法のメリットとデメリットについて解説します。
まずは「スクラッチ開発」のメリット・デメリットについて、詳しくみていきましょう。
メリット1.自由度の高い開発が可能
先でも解説した通り、スクラッチ開発はゼロからプログラムを開発するため、自由度の高い開発を行うことが可能です。完全オリジナルな設計で、独自性と機能性を持たせたアプリを開発できるため、自社のニーズや要望に完全にフィットさせることができます。この自由度の高さは、アプリの品質を高めるとともに、ユーザーの利便性も大きく向上させることにつながり、競合との差別化を図るうえでも重要な要素だといえます。
メリット2.ニーズや要件に合わせてフルカスタマイズが可能
既存のパッケージ機能に制限されることなく、ニーズや要件に合わせたフルカスタマイズが可能です。機能だけでなく、デザインまで一から構築できるため、まさにオーダーメイドのアプリを開発することができます。
また、機能改修やアップデートにも制約なく対応ができる点も、スクラッチ開発のメリットのひとつです。
スクラッチ開発のデメリット
自由度やカスタマイズ性の高さなどのメリットが存在する一方で、デメリットにも留意する必要があります。まず、開発時間とコストの面です。一から全てを開発するため、既存のパッケージを利用した開発方法と比べると膨大な時間とそれに伴うコストがかかります。また、開発言語やネットワークセキュリティなどの専門知識が求められるため、高い技術力を持った人材が不可欠です。社内に人材がいない場合は、外注が必要になるケースもあります。
これらのデメリットを踏まえたうえで慎重に検討する必要があります。
スクラッチ開発で注意するべきポイント
●要件定義を明確に行い、開発範囲をしっかりと定めること
●経験豊富なエンジニアや開発会社を選べるよう、技術力や開発体制の事前調査を行う
●開発期間や費用が当初の見積もりから超過しないよう、綿密に計画と進捗管理の徹底
パッケージ開発のメリット
次に、「パッケージ開発」のメリット・デメリットについてみていきます。
メリット1.短期間での開発が可能
既存のパッケージを利用してアプリを開発するパッケージ開発では、一からの開発ではなく基盤が出来ている状態から開発するため、スクラッチ開発に比べて開発期間を短縮させることが可能です。
短期間で開発ができれば、自社アプリを早く市場に出し、競合に競り勝つための施策を早い段階で打つことも可能になるでしょう。
メリット2.開発費用を抑えられる
もうひとつのメリットは、開発費用を抑えられる点です。パッケージシステムは、オプションやカスタマイズの範囲に応じて料金が設定されているケースが多いです。要件やニーズに合わせて多少の追加費用が発生したとしても、開発費用がスクラッチ開発ほどかかることはほとんどありません。
高額な開発コストに悩むことなく、効率良くアプリをリリースすることが可能なので、予算に限りがあるスタートアップ企業や、低コストでアプリ導入を希望する中小企業にとっては大きなメリットとなるでしょう。また、パッケージ提供会社側に保守運用まで任せることが出来る点もメリットのひとつといえます。
パッケージ開発のデメリット
スクラッチ開発と同様に、パッケージ開発にもデメリットが存在します。既存のパッケージを利用して開発を行うため、柔軟性の低さに留意する必要があります。パッケージシステムは、汎用的な要件を満たすように設計されていることが多く、独自のニーズに合わせたカスタマイズが難しい場合があります。アプリの方向性をガラッと変更する場合や、大幅アップデートが必要な場合は遅れの発生や対応不可となるリスクが伴います。
開発の柔軟性は長期的な目線で見る必要があるため、慎重に検討するようにしましょう。
パッケージ開発の注意点
●自社の要件を明確化し、要件を満たせるパッケージかどうかを十分に検討すること
●信頼できる技術力があり、自社の要件を理解してくれるベンダーを選ぶこと
●運用・保守、システム障害時の対応など、契約内容の確認の徹底
スクラッチ開発向きの企業・サービス
スクラッチ開発によるアプリ開発が向いているのは、以下のような企業・サービスが挙げられます。
●開発コストや開発期間を大きく長く確保できる企業
●パッケージには搭載されていない機能が必要となるサービス
●特定のニッチ市場に特化したサービス
●独自の業務フローの効率化を目指す場合
市場にない革新的なソリューションを提供することが求められる場合は、スクラッチ開発によるアプリ開発がおすすめです。
パッケージ開発向きの企業・サービス
パッケージ開発によるアプリ開発が向いているのは、以下のような企業・サービスが挙げられます。
●自社の要件・ニーズにフィットしたパッケージがある場合
●汎用的な機能を多く取り入れたアプリを開発したい場合
●低コストでスピーディーに自社アプリを開発したい企業
●誰でも簡単に使えるシンプルな使用感を求めるサービス
開発期間や、開発コストを含め、効率的なアプリ開発が必要な場合は、パッケージ開発がおすすめです。
アプリ運用を見据えて開発方法を選ぶ
ここまで、スクラッチ開発とパッケージ開発についてそれぞれの特徴を解説してきました。結局のところ、どちらの開発手法が適しているかは、開発するアプリの目的や規模、予算、開発期間、運用体制などによって異なります。
また、単に「開発の仕方」だけで選ぶのではなく、開発後のアプリ運用も視野にいれて選ぶことがポイントです。
開発後の運用コスト
アプリの運用には、サーバーの維持費やシステムの保守費用、アップデート対応など、継続的なコストが発生します。スクラッチ開発の場合、開発費用は高額になりますが、運用フェーズにおける自由度が高いため、独自のサーバー環境を構築するなど、運用コストを抑制できる可能性があります。パッケージ開発は、開発費用は抑えられますが、利用するパッケージサービスによっては、機能追加やカスタマイズに制限があり、結果的に運用コストが高くなる可能性もあるため、長期的な視点でコストを見積もる必要があります。
運用体制の構築
アプリの運用には、障害対応や問い合わせ対応、ユーザーデータの分析など、専門的な知識やスキルが求められます。自社で専門チームを組むことが難しい場合は、外部に運用業務を委託することも検討する必要があります。スクラッチ開発の場合、開発会社に運用まで依頼するケースの場合、ノウハウを蓄積しやすいというメリットがあります。パッケージ開発の場合は、運用業務を自社で行うか、パッケージベンダーと連携して行うケースが多いです。パッケージベンダーによっては、運用サポートを提供している場合もあるため、事前に確認をするようにしましょう。
機能追加や改修のしやすさ
ユーザーニーズの変化や競合サービスの登場など、アプリ市場は常に変化しています。そのため、ユーザーの反応を見ながら機能追加や改修を柔軟に行える体制を整えておくことが重要です。スクラッチ開発は、システム全体を把握した上で、柔軟な改修が可能です。パッケージ開発は、パッケージの仕様に依存するため、機能追加や改修に制限がある場合があります。将来的な機能追加や改修の可能性も考慮し、開発手法を選択する必要があります。
保守
アプリは、OSのバージョンアップやセキュリティ対策など、継続的な保守が必要です。スクラッチ開発の場合、開発会社に保守を依頼するケースが多く、長期的な安定運用を見込めます。パッケージ開発の場合、ほとんどのパッケージベンダーが保守を提供しているケースが多いため、ベンダーのサポート体制やセキュリティ対策の状況などを事前に確認しておくことが重要です。
パッケージ型のアプリ開発事例
ここで、パッケージ型のアプリ開発ツール「matomaru」で自社アプリを開発した事例をご紹介します。
株式会社アクシス様の事例
株式会社アクシス様は、ブランドイメージを反映させた会員アプリを開発されました。使いやすさ・利便性を重視されていたため、アプリのUXをカスタマイズして、会員様が使いやすい設計のアプリとなりました。
株式会社アクシス様のインタビュー記事はこちら
4.まとめ
本記事では、スクラッチによるアプリ開発とパッケージ開発の違いと、それぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説しました。アプリ開発において重要なのは、「開発方法」ではなく「開発後の運用ビジョン」であること。どのようにアプリを開発・運用していくか、アプリの目的や要件、自社のリソースなどを考慮し、自社にとって最適な開発方法を選択しましょう。
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